前回の芥川賞つながりでもう一人いましたので今回は川上弘美。
美人女流作家。
あまり美人などの敬称は好きではないのだがこの人には違和感がない。
全く名前が出てこなかったほど忘れていたので書こうかどうか迷ったが、それなりにはまった時期もあったのでまぁいいや。
代表作
『神様』
パスカル短編文学賞
処女作にもかかわらず選考で筒井康隆が「大家が手遊(てすさ)びで書いたのではあるまいか」と評した作品。
内容は、「隣に引っ越してきたクマとピクニックに行く」というほのぼのとしたたあいのない話であり自分も大した感想は持っていないのだが、一度読んだきりにもかかわらず続編『神様2011』を十数年後読んで以前の内容を脳内場景できることに驚いた。
今更ながら余程文章力があるのだろう。
ちなみに続編のほうもクマとピクニックに行くだけの焼き増しなのだが、フクシマの再現なのだろう被曝対策をしている
読みやすさ・・・90点 川上弘美の文学作品の中では短編でもありもっとも読みやすい。もう少し含蓄があれば絵本にもできる。
文章力・・・80点 何気なくすらすら読んでしまえるが上記しているとおり見る人が見れば筆力はわかるんでしょうね。
総評・・・70点 べた褒めしてきてなんだが、内容があるかないかと問われれば無いよね。
『センセイの鞄』
川上弘美の代表作、映像化もされている。
教え子の女性とセンセイの仄かな恋の物語。
管理人はラブストーリーなどに食指は動かないのだがこれは普通に読めた。
読めたというか続きが読みたくなった、なかなかに稀有な連作小説。
純愛度・・・70点 枯れているといったら失礼だが、オトナなのに幼い恋愛。
リアリティー・・・20点 そもそも川上弘美リアルを求めてはいけない。湯豆腐に春菊を入れる入れないとか、生々しさやドロドロとは対極にある作品。
総評・・・90点 自分に恋愛小説を面白いと思わせただけで素晴らしい(笑)
『椰子・椰子』
「なぜ代表作が椰子・椰子なんだ」とお叱りを受けるかもしれないが、川上弘美の小説の縮小版というか女史の小説はまぁこんな感じというのが『椰子・椰子』を読めばわかる。
『蛇を踏む』や『真鶴』も代表作だが、真鶴は陰気で内向的なセンセイの鞄だし蛇を踏むは私小説としての椰子・椰子だしで、それなら椰子・椰子でいいやとなったわけ。
とはいえ内容が、部屋の中で雨が降ったり子供が膨らんでいたり喋るインコに絡まれたりといった具合が日記調で書かれているので、それを面白いと思うかどうかは人を選ぶ
そういえば円城塔を評価していた一人が川上弘美であり、不可思議というか抽象的な部分が似ているからかもしれない。
非日常度・・・80点 街の住人が縄文人だったり、部屋の中にセイタカアワダチソウが生えてきたり、非日常的日常がよい。
百閒度・・・50点 川上弘美は内田百閒にならって『東京日記』を長年連載しているが、これも非常に面白い(全作は読んでいないので評価はさけます)
総評・・・50点 本も薄いし内容も薄いので寝る前に読むが吉。