北摂の地域性
その区割り問題の前に「北摂」の地域性について
「北摂」とは旧国名の「摂津國(大阪市+淀川以北と兵庫県の一部)」の淀川以北を主に指します(地図上では水色、青色、赤色)。
ただ近年は北摂という地名自体がブランド化してしまい、広義では有馬を含む神戸市や丹波により近い三田市まで北摂を呼称しています。三田のどこが北摂なのか?
一方狭義では大阪府下の淀川以北、旧地域名で三島郡と豊能郡を指します。画像では水色と青色の部分です。
この三島郡と豊能郡、同じ北摂なんですが歴史的にも地域性でも結構隔たりがあるんです。
三島郡は古くから大阪~京都間の交通の要所で現在でもJR東海道線や阪急(旧京阪)、主要道路が走っていて商業域が多い交通路の趣が強い地域です。
豊能郡は京都から直接山陽に抜ける西国街道が通るため古来寺社や名主等の大規模荘園や宿場が中心でした。大都市間に位置しない田園地域のためJRは駅はおろか線路すら通っておらず、阪急が開発するまでは鉄道不毛地区でした。逆にそれが功を奏して阪急のブランディング戦略の成功例として城下町化しています。
当然行政区も三島と豊能で分かれています(近年は中核市が増えて市単位での行政移管が進んでいますが)
またこれも大阪府の地域性として鉄道の影響が大きいのか、南北の繋がりが強く東西の繋がりが弱いということも三島郡と豊能郡を隔てている大きな理由です。
かように北摂でも三島郡と豊能郡は見えない障壁があり、通勤や通学、大阪空港や万博などの利用でもない限り双方の行き来はほとんどありません。
近年は千里ニュータウンや大阪モノレール敷設以降から多少融和は進んでいますが、大阪モノレール計画自体も大阪の発展のためには停滞している東西の繋がりが重要であるという理由が主なわけです。
大阪第9区
前置きが長くなりましたが、大阪9区は面積の8割が豊能郡(池田市箕面市豊能町能勢町)である一方、人口は三島郡の茨木市が半分を占めているという歪な形になっています。
しかも9区の最大都市の茨木と池田が東西の両端にあり、間には広大な箕面市域と千里丘陵が横たわっています。
足立氏はその9区最大人口擁する茨木育ちの茨木在住、一方原田氏は代々池田の名士。
本来国政選挙は地元や所在地は関係ないのですが、そこはそれ。
昔なら田中角栄、現役なら小沢一郎よろしく我田引水故郷に錦を飾りたいのが人情であり地元民も期待しないわけでもないので、どうしても「政策・政党」よりも「オラが町の議員」になるわけで、茨木市民は足立氏を、豊能地区民は原田氏を応援してしまうんですね。
9区を例に挙げましたが、地方などはもっと選挙区が広いわけで小選挙区の場合通常時は政策論争が出来ていても、いざ投票となるとどうしても地元議員に投票・・となってしまうと思うわけです。
そもそも現状の日本は二大政党が崩れているうえ、本来中選挙区こそ生き残る道である弱小政党の共産や社民、公明などが比例に胡坐をかいて中選挙区を嫌がっているという本末転倒の状態なので、現状の小選挙区制が続いていきそうな感じですが、個人的にはさっさと中選挙区に戻してもらいたいですね。